技術士受験のすすめ#2

 一言で技術者とくくられますが、技術者の業務のチェーンは例えば、研究・企画・開発・調達・製造・生産管理・物流・販売・保守など多岐にわたります。一人で全ての業務をこなすことは不可能で、大勢の仲間とともに役割を分担して、顧客に興味を持ってもらえる、使用して満足してもらえる、あるいは社会問題の解決につながる、そのようなサービス・商品・製品を世の中に送り出すことが技術者の役割です。

 その過程において、わくわく感、使命感、プレッシャー(予算、納期、性能や品質など)、挫折、悲しみ、怒り、喜び、などの感情を覚えることでしょう。それらをコントロールして仕事を進めるために技術者に大切なことを二つに絞るとすると、①技術者としての技量を高め続けること、②倫理観を保ち続けること、と私は考えています。

①技術者としての技量を高め続けること:専門化と分業化による効率的なオペレーションがプロジェクトを進めるうえで必要不可欠です。科学技術の進歩と高度化、システムの複雑化が進み、プロジェクトマネジメントの重要性が高まっています。大勢がプロジェクトに参加するなかで、一人一人の技術者の役割の相対的割合は以前より小さくなっていますが、一人一人の役割の重要度は以前より高まっています。そのような状況において技術者がプロジェクトの成功に貢献するために必要なことは、専門性を極限まで高めて得意分野の第一人者になることと、幅広い知識を身につけること、だと思います。専門家と分業化が進み、教育や業務効率化の目的で作業の標準化が進むと、運が悪い(?)と同じ業務を長期間にわたって繰り返し続けることになり、考え方が画一的になり、疑問に思うことが減り、革新的な考えが生まれにくくなる危険性があります(いわゆるマンネリ化による革新の阻害)。それを防ぐための一つの手段が”基礎を大事にすること”だと思います。

 基礎を大事にするために、技術士試験に挑戦することをお勧めします。技術士試験は多くの専門分野に分かれており、各分野における基礎的な知識(4年制大学のレベル)と実務経験が必要です。これは本ホームページのトップページに書いた”守破離”の”守”に相当すると考えています。さらに”破”と”離”に自らを高めていくにために、まずは基本の”守”が必要です。ご自身の現在の実力を図る目的で技術士試験に挑戦するのはいかがでしょうか? 基本を学びなおし、自らの技量を再確認する良いきっかけになるはずです。そして基礎を大事にする姿勢を持つことで、幅広い知識を正しく身につけることが出来るようになると私は考えています。

②倫理観を保ち続けること、については次回に書く予定です。